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生まれて初めて入るお店の扉を開けるとき、
どんな気持ちで開けますか?
 
ワクワク、ドキドキ、楽しみ、
不安、ちょっと怖い・・・。
 
いろんな気持ちがあると思います。
 
で、飲食店って、スーパーや
ショッピングセンターなどと違って、
入ってしまうと出られないんですよね。
 
なので、どちらかというと、
 
「この店大丈夫かな・・・」
「失敗したらどうしよう・・・」
 
という、不安感の方が強いのです。

あなたも、1度くらいは扉を開けて
「あちゃ〜、失敗した・・・」
という経験があるのではないでしょうか。
 
自分で経験したことがあれば分かると思いますが、
扉を開けてから、時間が経つごとに、
不安感はどんどん大きくなってくるのです。
 
こんなお客様、たまにいらっしゃいませんか?
扉を開けて、
 
「いいですか?」
「大丈夫ですか?」
 
これは、自分が歓迎されているかどうか
わからない、不安な気持ちから
こういうセリフが出てしまうのです。
 
はっきり言って、お客様に
こういうセリフを言わせてしまうようでは、
飲食店として失格です。
 
お店の扉が開いた瞬間に、
「こんにちは!いらっしゃいませ!」
と最高の笑顔でウェルカムをする。
 
この、扉が開いた瞬間というのがポイントです。
 
お客様は、扉を開けてから時間が経つごとに、
それこそ秒単位で不安感は大きくなっていきます。
 
なので、1秒も待たせてはいけません。
 
開いた瞬間にウェルカムをされると、
お客様はホッとします。
 
そして、お店に対する第一印象が良くなります。
 
この、お客様の第一印象を良くするというのが、
本当に重要なのです。
 
一体、なぜ第一印象が重要なのか。

 
人の第1印象は、最初の6秒間で決まる
と言われています。
 
例えば、あなたがお店に入ったときに、
店主や店員が、不機嫌そうな顔をしていたり、
しかめっ面だったらどうでしょうか。
 
閉店やオーダーストップ間際に
お店に入って、あからさまに
嫌な顔をされた経験ってありませんか?
 
「あと3分でオーダーストップだったのに、
客が入ってきちゃったよ」
 
「せっかく片付けしてたのに、
また出さなきゃいけないのかよ」
 
みたいな。
 
私の友人の話ですが、
 
閉店間際に入って舌打ちをされたあげく、
水も出されず、明らかに具の少ない
手抜きラーメンを出されたことがあるらしいです。
 
メンマやチャーシューなどの具が
一切入っておらず、ネギが少し乗っているだけの、
明らかにメニュー表とは違う、
麺とスープだけのぬるいラーメン。
 
しかも、食べている途中に精算を済まされ、
席に椅子を上げ始め、お店の電気を落とし、
戸締りし始めたんだとか。
 
そしてついに、まだ食べ終わってもいない段階で、
厨房以外の電気がすべて消えてしまった、
ということです。
 
なんだか怖くなって、その場ではしを置いて
慌ててお店を出たと言ってました。
ちょっと信じられないですよね。
 
お店の名前は言いませんが、本当にひどい話です。
 
で、話を元に戻すと、入店直後に
そういう嫌な顔や態度を見せられることで、
お店に対して悪い印象を持ちます。
 
入店して6秒で、そのお店の第1印象が
決まってしまいますから、このお店の第1印象は「悪い」
ということになってしまうというわけです。
 
第1印象が決まってしまうと、人は
その感情を正当化しようとして、その情報を
たくさん集め出します。
 
第1印象で「いいお店だな」と感じたなら、
いいお店であるという情報を集め、
 
「悪い」と感じたなら、悪い店だということを
裏付ける情報を集めるのです。
 
最初のウェルカムでお客様の気持ちを
つかむことができたら、「いいお店だ」という
第1印象を持ってもらうことができます。
 
そうすると、もしオーダーを取りに行くのが
少し遅れてしまっても、
「まあ、忙しいから仕方ないよね」とか。
 
料理を出すのが少し遅くなっても、
「自分の料理を丁寧に作ってくれているんだ」
って思ってくれるわけです。
 
もちろん待たされるのが嫌いな人もいますが、
待たされるよりも、料理を適当に作られる方が
もっと嫌なはずです。
 
第1印象がいいと、料理の提供が遅れた場合でも、
 
「一生懸命作ってくれているから
時間がかかってしまうのはしょうがない」
 
と、いいように解釈してくれます。
 
同じ料理でも第1印象が良い方が
「おいしい」と感じてもらえるわけです。
 
で、第1印象が悪ければ、その逆のことが起こります。
 
私のお店のアンケートを見ると、
接客の評価と味の評価は、ほぼ一致しています。
 
接客は最高だったけど味は最悪とか、
味は最高だったけど接客は最悪だったとか、
っていう評価は付きません。
 
なぜかというと、人は見かけだけで
味を評価しないからです。
 
その時の気分で料理の美味しさが変わる、
味の評価が変わるというのは、確実にあります。
 
なので、ウェルカムでお客様の心をつかみ、
いい第1印象を持ってもらう、というのが
本当に大切なのです。
 
扉を開けた瞬間に、0.2秒で
「こんにちは、いらっしゃいませ!」
 
そうすることで、来店を歓迎されている
という雰囲気がお客様に伝わります。
 
お客様があなたのお店をどう評価するか、
料理やサービスを楽しんでいただけるかどうか、
そして、またご来店していただけるかどうかは…
 
すべて、最初の0.2秒にかかっているのです。
 
扉が開いた瞬間「いらっしゃいませ!」と
反射的に出るくらいまで、ウェルカムの
精度を磨いていってください。
 
必ず、売り上げという形で、目に見えて
結果が現れてくるのを実感してもらえると思います。
 
私の話す内容には、「当たり前」のことも多いです。
 
今回の、お客様が来店したら
「素早く元気にあいさつ」なんて
言うまでもなく当たり前のことです。
 
なのに、なぜあえてこんな話をしているのか。
 
それは、こんな当たり前のことが
きちんとできていないお店があまりにも多いからです。
 
「お店を繁盛させたい」と言いながら、
そういう大切な事をおろそかにしているのです。

知っていることと、できることは違います。
 
「榎本さんの話は当たり前すぎて
ほとんど知ってることばかりです。
出し惜しみせず、もっと人が知らないような
新しい話をしてください!」
 
という人もいますが、そういう人に限って
基本や当たり前をおろそかにして、
お店を繁盛させるためのテクニックを知りたがるのです。
 
少し厳しい言い方になってしまいますが、
基本や当たり前をおろそかにしていては、
一生お店を繁盛させることはできません。
 
はっきり言って、お店を繁盛させるための
テクニックはいくらでもあります。
 
が、それらが効果を発揮するのは、
基本や当たり前を徹底した、しっかりとした
店づくりがあってのうえです。
 
お店の土台がしっかりしていないのに、
テクニックばかりを使ってお客様を集めるのは
逆にお店の寿命を縮めてしまうことになります。
 
お店を繁盛させるには特別なテクニックが必要だ、
と思っている人が多いですが、そんなものは
ほとんど必要ありません。
 
まずは、当たり前のことを当たり前にできる、
そんなお店をつくることが先決です。
 
あいさつなんて当たり前だとバカにせず、
ぜひ今すぐ実践してみてください。
あいさつは、繁盛店を作るための第一歩です。
 
知っていることと、できることは違う。
 
これを忘れてはならないのです。

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